夜起きて、朝寝る・・・ネット・ゲーム・漫画など毎日好きな生活を過ごし
ストレスフリーな生活を満喫しているニート兄弟も多数存在します。
「怠けているなら扶養しなくてもいいんじゃない?」
そう感じるのは自然な感情かもしれません
そんな怠惰な生活を満喫しているニート兄弟にも扶養義務は発生するのでしょうか?
またそんな生活を送るための資金源でもある親御さんの資産と相続にも影響があるのでしょうか?
今回はその点について掘り下げたいと思います
扶養される権利は財産相続の権利とは異なる
いきなり結論から出てしまいましたがニート兄弟の資金源が親御さんからの
経済的な恩恵という点においては相続と扶養は似ていますが
扶養される権利とは「経済力を持つ者が生活する上での最低限の金銭的な援助を受ける事をさします。」
兄弟同士で高齢の親御さんの介護を財産の相続を担保に相続の割合を決めることは多々ありますが
扶養される権利と資産の相続の権利は譲渡したり破棄することも禁止されています。
ニート兄弟のいる方からすれば親の資産を食いつぶして将来自分が受け取るであろう資産が目減りする
事と相殺できないものかと考えるかもしれません
しかし扶養の権利とは
ニート本人が生存している事が扶養の根拠となり扶養する権利を他人に譲渡したり
親から相続する資産と相殺したり扶養される権利を将来的に放棄することもできない
扶養権利の処分は禁止されています。(民法881条)
例えばニート生活を長年送り毎日、ネット・ゲーム・漫画三昧の生活を送っていたとか
パチンコ&競馬にのめり込んでお金を散々したために生活が立ち行かなくなったなど
あきらかにニート兄弟側に責任がある状態とは関係なく扶養の権利は発生します。
扶養の権利は放棄できない?
なぜそんな怠惰な生活を送り続けるニートに扶養を受ける権利があるのかと疑問に思う方も多いことでしょう
実は民法877条以下の扶養の章にいう扶養とは生活する上で文化的に最低限の金銭的な援助のことであり
本人に求償できない性質をもっているからです
(求償とは賠償または償還を求めることです。)
つまり扶養とは一方的に経済的に援助を与えづづける性質を持ち合わせています
卵から孵った雛に懸命に餌を与えづづける母鳥のようなもです。
まあニートは雛が大きくなりすぎたカッコウのようなものですが・・・
扶養の性質とは援助を受ける権利と考えてもいいかもしれません
ニートがまさかの大成功!その時歴史は動かなかった・・・
元ニートでロリポップ・paperboy&co.社長の家入一真さんや
元ホームレスから社長になったOKWave社長の兼元兼任さんなど
人生のドン底から這い上がった元ニートもたまにいます。
堀江貴文氏のメルマガで読んだことがあるのですが中高年のニート達は
起業に向いているそうです
元ニートな彼らは一般的な社会常識がありません
脱サラで起業したりする真面目な人ほど前職の観念に囚われてしまい
大きな勝負ができません
それに比べてニートな彼らは常識の枠外からの視点で物事を見ることがあり
イチかバチかで起業したりすると大成功を治めることがあります。
上記のような大物以外でも同人ソフトでプチ成功した知人など私の周りでも稀に存在します。
そんな元ニートが大成功した後に扶養して援助した我々は見返りはあるのでしょうか?
実は・・・
扶養した援助の見返りはありません・・・・
扶養とは一方的に援助をする性質を持つとともに以前に援助をして助けた事柄に対して
返す義務はないのです。
(心の持ちようで、何かあるかもしれませんが・・・)
扶養とは贈与と考えてもいいかもしれません
扶養と相続は中身が異なり今まで散々家族を食い物にしたあげく
その後金銭的にニート兄弟が裕福になったとしても以前に扶養された援助を返す義務はないのです。
元ニートで金持ちになる人は稀に存在します。持て余す時間を使って創造性の高い職業に変えているのかもしれません
もしかして貴方の兄弟も近い将来・・・
扶養の当事者関係のおさらい
身近な扶養の当事者を見直してみましょう
未成年の子→親の扶養に関しては親権が関係してきます。
夫婦→夫婦の扶養に関しては婚姻が関係します。
これらの2パータンは生活保持義務と呼ばれ自分を犠牲にしても生活レベルと同程度に
しなくてはならない性質を持ちます
生活保持義務
と呼ばれ扶養義務者が強制的に生活を支えなくてはなりません
それ以外の当事者関係としては
直系血族(成人子→親 祖父母→孫 兄弟→兄弟)
は扶養する義務が民法877条より扶養義務があるとしています
しかし自分の経済的に余裕がある場合にのみ援助をすればよい
生活扶助義務
と呼ばれます自分を犠牲にしてまで助ける義務はありません
3親等内の直系血族間にて扶養の権利と義務の発生があった場合は
当事者間での話し合いにより協議をしてもらう原則ですが
両者の間で話し合いが不調なときは家裁の審判により扶養が命じられる
(877条 家事182条以下 別表第1の84項〔=家審9条1項乙類8号,家審規94条以下〕)
扶養を家裁の審理によって3親等内の親族間にも扶養義務を負わせることができるとされています
扶養義務発生の要件
では扶養を受ける義務が発生する要件とはどうのような場合でしょうか
もしニートな兄弟からの扶養の義務の要件とは
民法877条・879条から扶養の権利義務発生の要件をわかります
①民法が規定する一定の親族関係にあること
※ニートとの直系血族なら2親等に該当します。
②扶養義務者の経済的な余裕
※2016年の全世帯年収の平均は、545.8万円で中央値を見ると428万円
平成28年版(2016年版)の「国民生活基礎調査の概況」より
③扶養請求者の要扶養性
※働いてないニートは扶養しないと死んでしまいます
④要扶養者からの請求
※ニートからの扶養の申し出・・・
④扶養の権利義務の発生
※ニートを扶養する義務が発生・・・?
扶養を受けるには一定の要件が必要になります。
未成年の子供のように扶養を受けなくては社会的にも生存が危ぶまれる場合には私的・公的扶養の
対象になることでしょう。
両者の協議が調わないときは家裁で調停を試み、不調であれば審理によって扶養が命じられる
(877条 家事182条 以下 別表第1の84項)
(=家審9条1項乙類8号 家審規94条以下)
扶養に関する権利・義務は当事者間での協議で話し合われる事が多いです。
しかしニート兄弟のように扶養する事に疑念が抱かれる場合には扶養者と扶養請求者の間で争いが発生します。
扶養者に経済的な余裕があるのだろうか?
扶養請求者の扶養性?
などニートである兄弟の扶養は自分の生活に余裕がある場合には助けなければならない扶養義務で
生活扶助義務と呼ばれていることからも
自分の生活をレベルを落としてまで助ける事はありません
現在社会において一人の人間を養う事に多額な金銭を必要とする場合にはその負担を親族であるからといって
兄弟に負担させてよいものでしょうか?
まとめ
ニート兄弟が親の資産を食いつぶしたとしても相続する資産と相殺したりすることはできません
普段の生活が怠惰で遊んでいるような場合でもその根拠を理由に関係なく扶養の権利は発生します。
またニート兄弟が生存しているかぎり扶養権利の処分は禁止されています
また仮にニート兄弟が将来お金持ちになったとしてもその時の資産を扶養された援助を返す義務はありません
元ニートでその後、お金持ちになった例は稀に存在します。
扶養を受ける権利には養義務者の経済的な余裕や扶養請求者の要扶養性などの要件が必要になり
要扶養者からの請求から扶養の権利義務の発生が生じます
またこれらの要件が消滅した場合には扶養の権利義務は消滅します。